8月9日、いわゆる「対面」と、オンラインでの会合の両方を行った一日となりました。
午前中は、仙台市環境局「たまきさんサロン」を会場としての青葉山古文書の会。慶応3年から明治5年までの解読原稿を公開した「丸吉皆川家日誌」の残りの部分の解読です。嘉永6年(1853)から始まって、今回で文久2年(1862)までたどり着きました。慶応3年8月まで進んで、すべての解読が完了するのには、あと2年はかかるでしょうか。
当然、対面での開催ですので、新型コロナウイルスの感染拡大にともない4か月中断していましたが、先月から再開しています。会場は市の施設ですので、飛散防止シートや使用前後での消毒などの対応は、すべて職員の方がしてくれます。こちらの手間は大幅に省けます。危険に向き合いつつ公共空間の機能を維持している公務員・行政職員の方々に支えられている、ということを心に留める必要があるのでしょう。もちろん、退職者中心の参加者に、この状況下で対面の会合のために集まってもらっている、ということに記して感謝いたします。
一方で、2時間の時間制限、通常なら可能な飲食の禁止という制約もあります。休憩時間の茶話も、昼食をとりながらの歓談もなし。古文書の読み合わせという「作業」だけの会合になっています。現状では致し方ないこととはいえ、会合本体よりも、何気ない会話から思いがけないヒントが出てくることもしばしば。寂しいということもありますが、研究やその共有における大事な場面が奪われている、といっても過言ではないでしょう。
午後は、小津久足「陸奥日記」の研究会。ホスト役を務めるのも、オンラインでの飲み会も初めてでした。ここでも公開している「陸奥日記」Webマップの今後などについて、活発に議論しました。その成果は乞うご期待、というところです。
各方面で急転直下でオンライン対応が求められて4か月、経験の無い私でも特段の支障も無く研究会の運営が出来たのは、それだけITインフラが使いやすくなっているということなのでしょう。 資料の印刷の手間や、会場の確保の手間。さらに出張・移動の手間も省けます便利な反面、ITインフラを通じて、労働が際限なく私的空間に入ってきて、人間らしい生活が奪われてかねない、という問題には注意すべきだと考えています。「アフターコロナの新スタイル」などと明るい未来だけを描くような言説は、すこし疑ってかかるべきかもしれません。
わざわざ「対面」と「オンライン」などと会合の種類を書き分けなければならなくなった今日この頃。楽できるならばどちらでもいい、と思う怠惰な私ですが、しかし会合のために列車に乗って、直接人と会って、その土地の酒肴を楽しむ、それが気兼ねなく出来る日が再び来ることを願っています。