名振の「おめつき」2002年

2022年最初の投稿です。今年もよろしくお願いいたします。

私が2001年(平成13)から古文書調査で出かけていた、石巻市雄勝町名振では、毎年1月24日に「おめつき」というお祭りが行われています。今回は、2002年(平成14)に訪問した際に撮影した写真をクラウドにアップロードしました。利用条件などは本記事および「図絵」欄のご確認ください。

秋葉様(神様)役と村人役の住民の掛け合いの様子(2002年1月24日撮影)

https://photos.app.goo.gl/KoBe7twiSYKCsLqa8

この行事は天明3年(1783)に起こった集落での大火をきっかけに、火防の祭として始まったとされるものです。宮城県指定の無形民俗文化財で、いわば「文化的に価値の高い行事」なのですが、私がこのお祭りのことを知ったのは、写真撮影の数日前に夕方のニュースで、地元の皆さんが仙台のスタジオに招かれて、「即興の漫才を披露する行事だ」として紹介していたのを、たまたま見たからです。古文書調査で縁の出来た場所の行事ということで、車のなかった私は、共同で調査していた大学の先生にお願いして、車で現地に出かけました。しかも、人に「アシ」をお願いしながら、前日飲み過ぎて二日酔いという状態でした。ひどいものです…。

朝早くに現地に着いて見ると、祭の本当の姿を知りました。「お守り」や「ご神体」は、男性器を形取ったもの。山車を引きながら振りまかれるのは女性器を形取ったもの。そしてテレビニュースで見た掛け合いも、実際のお祭りではほぼすべてが性にちなんだ話題。この手の話は羞恥を含みつつも、もっとも笑える「ネタ」の一つでしょう。もちろん、五穀豊穣や豊漁を願う意味もあります。

この撮影から9年後、名振を「3.11」の津波が襲いました。集落は壊滅。それでも、翌年1月14日には祭が行われたという報道に触れました。しかし、あれから10年を迎えた2021年からは神事のみの開催に縮小している由です。

宮城県の文化財ということですから、きっとしかるべきところに写真や映像、音声が保管されているものと信じたいところです。当方の写真は、我ながら下手で、記録資料としての価値はわかりませんが、しかし3.11前の名振集落の様子を伝える記録ではあります。よって、ここで共有したいと思います。

個人の顔などは、最近の「デジタル・アーカイブ」では「肖像権の保護」を理由にマスクする例が多いようですが、ここではあえてそうしません。「あの日」の直前までの、記憶や思い出に関するもののほとんどを失ったであろう地元や関係の皆様に対して、それを取り戻す手がかりとなることを願うからです。

地元の祭礼は、地元固有の生業や生活サイクルに根ざしているからこその行事で、その根本が覆っている状況において、部外者の私から軽々しく「存続、復活を」となどとはいいがたいものがあります。一方で、「なかったこと」にならないよう記録に残して伝えることに、ささやかではあっても役立てればと思います。

末筆ながら、名振の皆様のご健勝をお祈り申し上げます。

○「おめつき」写真の利用条件
1 著作権は佐藤大介にあります。
2 個人利用の範囲内での複製は、認めます。
3 学術研究・教育での利用に際しては、本サイトで閲覧・複製したこと(リンクを張る場合は閲覧日も)、および撮影者(佐藤大介)とURLを明記してください。また、ご連絡と、成果物のご恵送をいただければ幸いです。
4 商用利用はご相談ください。
5 2~4のいずれの場合でも、画像の利用にともなって発生した損害についての責は、利用者が負うものとします。
6 写真に関する情報などは、問い合わせメール、このページのコメント欄、ないしはリンク先のコメント機能のいずれかまでにお願いします。

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